障害年金と生活保護について

コラム

障害年金と生活保護は、日本の社会保障制度の一環として、生活の困難に直面している人々を支援するために設けられた制度です。それぞれの制度には特徴や目的があり、併用が可能な場合もありますが、いくつかの注意点があります。


障害年金とは

障害年金は、公的年金制度(国民年金や厚生年金)の一部として提供され、一定の障害を持つ方が対象となります。以下は主な特徴です。

  1. 対象者
    ・病気やけがで障害状態になった方
    ・国民年金や厚生年金に加入している、もしくは加入していた方
  2. 受給要件
    ・初診日の段階で保険料を一定期間以上納付していること
    ・医師の診断書に基づき、障害等級に該当すること
  3. 支給金額
    ・障害基礎年金(国民年金に加入していた場合)
    → 1級:約102万円/年、2級:約81.6万円/年(2024年度基準)
    ・障害厚生年金(厚生年金加入の場合)
    → 障害等級や報酬額によって異なる

生活保護とは

生活保護は、生活に困窮している人々に最低限の生活を保障する制度です。障害者だけでなく、どのような状況の人でも条件を満たせば利用できます。

  1. 対象者
    ・収入や資産が最低生活費を下回る方
    ・他に支援を受ける手段がない方
  2. 支給内容
    ・生活費(食費、光熱費など)
    ・住宅扶助(家賃補助)
    ・医療扶助(医療費負担なし)
    ・その他(介護扶助、教育扶助など)

障害年金と生活保護の併用

障害年金を受給している方が生活保護を受けることも可能ですが、両制度を併用する場合には以下の注意点があります。

  1. 収入認定
    ・障害年金は「収入」とみなされ、生活保護の計算に組み込まれます。
    ・年金受給額が最低生活費を上回る場合、生活保護は受けられません。
  2. 生活保護受給額の調整
    ・障害年金の額が最低生活費に満たない場合、不足分が生活保護として支給されます。
  3. メリットと留意点
    ・医療費が全額負担される生活保護は、医療扶助を重視する場合に有効です。
    ・ただし、生活保護を受給すると資産の保有や使い道に一定の制限があります。

どちらを優先すべきか

障害年金は、保険料を納付していれば基本的に受給権が発生するため、まずは障害年金の申請を検討することが一般的です。一方、生活保護は最終的なセーフティーネットとして利用されるケースが多いです。


申請の手続きとポイント

  1. 障害年金の申請
    ・市区町村の年金事務所や専門家(社会保険労務士)に相談することが推奨されます。
    ・必要書類(診断書、病歴・就労状況申立書など)を揃え、適切に準備することが重要です。
  2. 生活保護の申請
    ・居住地の福祉事務所で申請を行います。
    ・収入や資産の状況を正確に伝えることが求められます。

障害年金と生活保護は、どちらも生活を支えるための重要な制度です。それぞれの特徴をよく理解し、自分に合った支援を受けられるよう、専門家に相談することをお勧めします。